先日、アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)(55)が病気療養のため休職するというニュースで、一時的ではあるが株価が6%強下がるということが起きた。その後、業績が良いという事で持ち直したがそれでも2%下がっている。1人の天才に依存してしまう組織の危うさを感じられた方も多いのではと思う。
難しくても成果をだせる狩猟型プロジェクト・マネジャーを、自然に任せるのではなく組織的に育成していくパイプラインを、仕組みとして作り出していくことは、組織の継続的な成長に必要な事であるが、容易ではない。
そのためには、まずは適切な選抜が必要になる。プロジェクト・マネジャーとして不適切な人にいくら教育しても、効果はあまりないであろう。人は可能性を秘めているがその可能性は人それぞれである。マネジャーではなく、専門家、サポート役として能力の高い人もいる。全ての人を狩猟型プロジェクト・マネジャーに育成することは不可能である。そのためには、プロジェクト・マネジャーとしての素養を見極める仕組みが必要になる。それが選抜ということになる。
ただ、ここで難しい点は、適任かどうかの判断である。俳優クラブの採用で不合格だった人があとで俳優として頭角を現すなど、素養を見抜くことの難しさを聞いた事がある。
コンピテンシーなどのモデルで評価する方法もあるが、私の経験からは仕事に対する執着心があるかどうかが一番大切だと思う。どのような仕事でも成功させようとすると難しい。環境や周りのせいにするのは簡単だが、それらを乗り越えていけるかどうかが試金石になるだろう。