2011年3月11日は日本の大きな変革期として歴史に残るかもしれない。日本の東北地方を破壊した地震と津波は、私たちの今までの価値観を大きく変える事になるような気がする。ブランドやグルメなどというような平和時の言葉が消え、生きるための食料や水のありがたさを毎日感じられずにはいられない。
計画停電で電気が消え、ろうそくなどの明かりで家にいるとなぜか懐かしくほのぼのした感覚がよみがえる。私たちの身の周りで本当に必要なものだけを残すと、そこには暖かい家や食料、水、そして助け合う家族や人々の協力関係が残るのであろう。
私の友人であり尊敬するハロルド・カーズナー博士は「プロジェクトの組織構造がプロジェクト型であれ、マトリックス型であれどのような構造で遂行されても、またプロジェクトマネジメントのプロセスがどのように構築されていても、協力関係が存在しない組織はうまく機能しない」と言われていた。たとえ日本の政府の危機管理システムが十分に機能していなくても、住民同士や都道府県を超えた機関や人々との助け合いなどの協力関係でどうにか今の現状をしのいでいるように感じさせる。
東北地方の新しい形での復興、そして信頼できる原子力発電産業、信頼できる政府、これらの新しい未来に向けての日本復興プロジェクト、これが今からの国を挙げてのそして私たち一人一人の重要なプロジェクトになることだろう。
人にはメンタル・モデルという個人の行動に影響を与える世界観が存在すると言われているが、今回の大災害は私たちのメンタルモデルに影響を与えることになるであろう。
大震災で被災しながらもサポートしあう人たち、放射線でのリスクを乗り越えて責務を全うする消防士たち、自分の家を被災者の方々に提供する人たち、また被災現場で復興のために日夜作業する建築業の方々など、数えきれないほどの日本人が自分の哲学を持って行動している。
法律や決まりやしきたりで行動するのではなく、自分の強い思いを基に行動する姿勢に襟を正される思いがする。狩猟型プロジェクト・マネジャーに必要不可欠な「強い思い」をテレビで多く見る事ができる。
自分にできることに集中しながら、復興にも貢献できることを考え行動していきたいと思う。