ここ数年で日本の企業においてのPMBOK®の活用が加速し、プロジェクト・業務の品質向上がいっそう図られてきましたが、PMI®日本支部では、最も基本的なマネジメント・フレームワークであるPMBOK®の上位概念としてのプログラムマネジメント(PgM)、更に上位のプロジェクト・ポートフォリオマネジメント(PMP®)の実務標準第2版の日本語版を昨年末にリリースしています。
PPMは企業レベルとしての最上位に位置づけられる考え方で、極めて戦略的視点の濃いものです。「経営資源の最適配分のための事業優先順位付けや各戦略目標を達成するための事業選択」を行います。
PgMは選択された事業に対して実務的にマネジメントする領域です。すなわち、「特定された戦略目標達成のために相互に依存する複数のプロジェクトやその他関連業務」が対象となります。
例えば、3月末に日産自動車のゴーン社長がダイムラー社と業務提携を発表しました。その中の次世代環境技術搭載車開発構想は、プログラムと見ることができます。構想実現のための電池開発、ハイスピード充電器開発、他モデル車への転用開発などは、各々プロジェクトですが、充電器開発の遅れは車の市場投入時期に大きく影響します。戦略目標達成のためには相互依存を配慮した統合レベルのプログラムマネジメントが不可欠になるわけです。
通常、プロジェクトマネジメントの分野では次のような表現で明確に双方を区別するようにしています。
- PPMは「正しい実行・活動をする」(Do right things !)
=戦略と方針決定 - PgMは「正しく実行・活動する」(Do things right !)
=戦術と実践
複雑化し、不確実性の高まる昨今のプロジェクト環境においては、担当するプロジェクト・マネジャーにとっても、少なくともPgMの視点で見た融合や整合性確保が求められ、あるいは、これまで単一プロジェクトとして扱っていたものが、PgMの視点でのマネジメントが求められるケースもあります。是非一度、上記の視点で、お客様の環境を再確認してみてください。(確認結果をお客様の声としてお待ちしています。)
実践レベルで企業のベネフィットを生み出すため、個々のプロジェクトを超えた上位のマネジメント・フレームワークであるPgM(プログラムマネジメント)。次号では、その具体的ポイントを紹介する予定です。