第6号の今回では、プログラムマネジメント(PgM)導入に当たりその推進力となる要素や逆に抵抗力となる要素について、幾つか例を挙げてみたいと思います。
●推進力となる要素(例)
組織の視点:
【企業の戦略目標に対する実行率や実行性が向上する】
→復習になりますが、PgMではプログラム・ガバナンス活動を通して戦略目標との整合性維持を確実に図りますので、実行率や実行性が向上し事業へのより高い貢献が期待できることになります。
【企業のバリュー創出機会が増大する】
→ベネフィット・マネジメントの考え方がありました。この考え方の徹底により、収益向上や生産性向上などバリュー(価値)創出の機会が増えます。
【全体最適化の有効手段となる】
→共通の戦略目標のもと相互依存関係を調整する上位のマネジメント・フレームワークですので、部分最適化ではなく事業レベルで見た全体最適化の視点が醸成されます。
人の視点:
【戦略性を身に付けたリーダー育成ができる】
→業務遂行型のマネジメント・スタイルから脱却し、一歩進んだ”戦略性”の色濃いStrategic Managerの誕生が図れます。
市場や外部環境の視点:
【高付加価値な新たなビジネス・チャンスが獲得できる】
→事業経営指向や上流ビジネス指向が醸成されますので、対外的な企業プレゼンスも向上しますし、ビジネス・チャンス創出が期待できます。
【競合他社対策としての競争優位確保の手段となる】
→PgMは企業を進化させ競争優位を確保する手段です。他社との差別化あるいはビジネス・モデル陳腐化回避の方策として大変有効なものです。
●抵抗力となる要素(例)
ここでは主として組織や人の視点としての抵抗力となる要素に加え、その対応などについても述べてみました。
【実行能力具備の準備や実行環境整備に時間がかかる】
→その通りですので、早期取組みによって競争優位を確保するとの考え方で対処しては如何でしょうか。
【余計なオーバーヘッドがかかる】
→PgM導入による創出メリットやバリューがそのオーバーヘッドを上回ることが期待できます。
【マネジメント・プロセスが複雑になる】
→PgM導入による創出メリットやバリューがその手間に関わるエネルギーを上回ることが期待できます。
【ガバナンス優先で柔軟性がなくなり臨機対応が困難となる】
→臨機対応の適用基準を事前にルール化しておくことで、その混乱を減少することが可能となります。
推進力と抵抗力についてあくまでも例としてその要素をご紹介しました。PgM導入の決断に当たっては、企業を取り巻く様々なビジネス要素や環境を勘案することになりますが、導入が早ければ早いほど競争優位に立てるのではないでしょうか。企業を脱皮させるトリガーとしては如何でしょうか。
次号では、また別のトピックをご紹介しましょう。