第8回目の今回はまとめの観点から、PMI®プログラムマネジメント標準第2版の全体フレームワークについてその概要をご紹介したいと思います。
●基本フレームワーク
プログラムマネジメントの知識体系としての基本フレームワークは、5個のプロセス群(横軸)と9個の知識エリア(縦軸)から成り立っています。この横軸と縦軸のマトリックスのなかに、47個の具体的なマネジメント・プロセスが定義されています。考え方のベースは、プロジェクトマネジメントの知識体系として良く知られたPMBOK®と同じで、プログラムマネジメントとプロジェクトマネジメントとの相互関係に配慮し統一感を出しています。
●5個のプロセス群
- 立上げプロセス群
目標達成やベネフィット創出のためのプログラムをまず定義し、プログラム憲章作成や大規模、長期に渡るプログラムでは大変重要な資金調達のための財務フレームワークを確立するプロセスです。 - 計画プロセス群
プログラムとしての作業スコープを明らかにし、ガバナンス計画書やベネフィット実現計画書の作成、TCO分析、ステークホルダー分析、リスクの相互依存影響度の把握などを行います。包括的な計画文書として、プログラムマネジメント計画書を作成します。 - 実行プロセス群
各種計画書に沿って作業を促進します。ベネフィット実現、ステークホルダー・マネジメント或いはガバナンスなどが確立された方針や計画に従って確実に実行されるようにします。 - 監視コントロールプロセス群
ベネフィット創出の期待に対してガバナンスを実施します。具体的には、計画との差異を把握するため定期的に進捗を計測し、変更マネジメント、ベネフィット実現分析、継続・中止の意思決定或いは終結提言などを行います。 - 終結プロセス群
プロダクト、サービスまたは成果物やベネフィットを公式に受入れ、プログラムを秩序ある終結へ導きます。この中では、資源解放、移管、教訓の共有、最終報告書作成などを行います。
●9個の知識エリア
項目はプログラム視点としての「統合・スコープ・タイム・コミュニケーション・リスク・調達・財務・ステークホルダー・ガバナンス」の9個です。PMBOK®にないものは、「財務・ステークホルダー・ガバナンス」の3個です。プログラムでは戦略性、相互依存、大規模、統合と言った軸が極めて重要な要素であるとの側面がありました。従って、強調するねらいからこの3個の知識エリアが追加された訳です。なお、「コスト・品質・人的資源」の知識エリアについては、プログラムマネジメント標準体系には含まれないがPMBOK®を参照する考え方となっています。
次号では、また別のトピックをご紹介しましょう。